今日は、ずっと気になっていた 大好きなキム・ナムギル(김남길)主演の映画、
愛の運命-暴風前夜-(폭풍전야)を見ました!!
総合評価は 6点/10点
映像 ★★★★★
サウンド ★★★★★
ストーリー ★★★☆☆
笑い ☆☆☆☆☆
ドキドキ ★★★☆☆
「同性愛、エイズ、殺人、刑務所、妻の裏切り、不倫、無実の罪、強姦、脱獄・・・」
この言葉だけを見ても分かるように、
最初から、どこか不気味で憂鬱な雰囲気を感じさせる音楽から始まり、
絶望的な悲しみと苦しみを抱えながら生きている、
ある男女の最期の愛を描いた、とても切ない物語です。
この映画で、何よりも良かったのが、映像美。
映画というよりは、美しい風景や人物が撮られた写真集を 一枚一枚めくっていく感覚で、
最後までこの映画を見ました。
舞台となっている済州島(제주도/チェジュド)ですが、
この映画が持つ悲しみを より効果的に表現するため、
季節も夏ではなく、冬に撮影しています。
そのため、海辺でのシーンや、山のシーンも、明るさは全くなく、
どこか憂鬱で主人公が持つ寂しさをより一層感じさせる風景です。
そして、海辺に一つだけポツンと建っているレストラン&カフェで
主人公のキム・ナムギル(김남길)演じるスイン(수인)と、
ファン・ウスレ(황우슬혜)演じるミア(미아)が 最期の愛を築いていくのですが、
このレストランも古くてさびれていて潰れそうだけど、なんだかおしゃれ。
また、サウンドトラックがすごく良かった。
この映画の悲しみや絶望感、救いようのない未来を すごく効果的に表現しています。
映画を見終わってから、すぐにこのサウンドトラックをダウンロードしようと思って
韓国のSORIPADAというダウンロードサイトで探したのですが、
主題歌のビッグママ(빅마마)の曲しかダウンロードをすることができませんでした。
このビッグママのハルマン(하루만)という歌・・・
歌詞がすごく切なくて、悲しくて泣けてくるくらいいい曲。
で、NEVERでこの映画のサントラを作った人物を探すと出てきましたよ~
「지박(ジーバック)」という作曲家さんが作ったそうです。
アメリカでは、「ポスト エンニオ・モリコーネ(イタリアの作曲家さん)」という愛称で
親しまれている作曲家さん。
2000年、若干23歳で 映画音楽の巨匠
「ジェリー・ゴールドスミス(アメリカの作曲家)」を 記念して、
BMIが主催している映画音コンクールで、 現役映画音楽家達を差し置いて、世界最年少、
東洋最初の 「ジェリー・ゴールドスミス賞」を受賞し、音楽界の話題にのぼった
ミュージシャンだそうです。
また、第17代 大統領就任式の音楽監督を任され、
本格的に韓国での活動を開始し、 ハリウッド映画やミュージカル、ドラマ、
また日本の有名なアニメを原作としたゲーム音楽などを 手がけるなど、
世界的に活躍している作曲家さん。
映像と音楽は、とってもよかったのですが、 そこにすごく力を入れすぎてしまったためか、
ストーリーにディテールがなく、
最初から最後まで流れるように終わってしまい、映画に充分に浸れなかった。。。
う~ん、映像と音楽があれだけ美しかっただけに、余計残念(><)
元々、映画をあまり見慣れていないからということもありますが、
短い時間の中で、映像を見ながら、
その物語の背景や内容を感じ取るのが 昔から苦手な私・・・
この映画も、104分という短い映画でしたが、
「暴風前夜」というタイトルからも意味するように、
夜のシーンと昼のシーンが半々くらい。
で、夜のシーンはわざと不気味さと暗さを出すために、
すごく暗く撮られていて、人物の顔はほとんど映りません。
それが、効果的なんだと思うんですが、よく見えない上に、
セリフが少なく 内容を充分に理解できず・・・
「たぶんこういうことなんだろうなぁ」と推測しながら
最後まで消化できず、なんとなく終わってしまったという感じでした。
一回見ただけでは、納得がいかない部分が多かったので、
部分的に 「?」マークのところは、
二回・三回見てしまいましたが、
もし、映画館で見てたらそうはいきませんよね(苦笑)
スインとミアが出会ってから、恋に落ちていくところも微妙。
スインのほうは、ミアのことを分かっていたので、
ともかく なぜミアがスインに惹かれたのか?
そして惹かれ合ったかと思うと、既に話は半分くらい終わっていて、
スインは刑事に捕まらないように、また逃げてミアと離れ離れになって・・・
でも、二人の愛はどんどん深まっていくんですが、
その二人の心情が いまいちどう変化していったのか、
よく読みとれないまま終わってしまいました。
おそらく、この短い時間の中でいろいろな題材が詰め込まれすぎて、
全部消化不良で終わったんじゃないかって気がします。
しかも、扱う題材自体が、かなり社会的に敏感な問題が多くて、
大丈夫なのかな?って心配になりました。
でも、やっぱりキム・ナムギルはこの映画でも無条件にかっこよかった・・・
「나쁜 남자」と「선덕여왕」のときも、
複雑な人間関係に悩まされる影のある役をしていましたが、
やっぱりこういう悲しみを背負った役が最高に似合う!!
今回の役も、自分の愛する妻に裏切られ、妻の不倫相手に妻を殺された上、
その殺人者に濡れ衣を着せられ、
刑務所に入れられてしまうという何ともやりきれない役。
また、悲劇はそこで終わらず、何とかして刑務所を脱出しようと考えた末、
エイズに感染すれば釈放されるという噂を信じ、
同じ刑務所にいるエイズ感染者の血液を 自分の体内に入れ、
自らエイズ感染者になってしまう。
そして発症・・・ 残された命は長くて3年。
セリフはすごく少ないですが、目だけで悲しさを訴えられる俳優だと思います。
この斜め45度の視線が特に切なく、孤独感を現しています・・・
ちょっと長めの髪の毛と、伸ばした髭、そしてエイズ感染者の役を演じるため、
14kg減量した体・・・
この製作発表でも話しているように、はじめはバイセクシャルの
サンピョン役にどうかという話を受けたようです。
ただ、キムナムギルは、以前も同性愛役を演じたことがあり、
その時以上の 演技はもうできないだろうということから、
再びスイン役として抜擢されたということです。
ドラマ、善徳女王の前に撮られた映画ということなのですが、
韓国で公開されたのは2010年の4月。
撮影から公開まで、1年くらいあいていたそうです。
韓国では、あまりヒットしなかったようですが、
それでも キム・ナムギル目当てで映画を見にいった女性が多かったようです。
あ~、早く軍隊生活を終えて、2012年中には復帰してくれるといいのですが・・・
せっかく韓国に来たのに、ハイビジョンでお目にかかれなくて寂しいです(涙)
ここからは、作品のあらすじ&ネタバレになりますので、
映画を見ていない方はご注意!!
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【タイトル】愛の運命-暴風前夜ー(폭풍전야)
【監督】ジョ・チャンホ(조 창호)
【主演】
キム・ナムギル(김남길) /スイン(수인)役
ファン・ウスレ(황우슬혜)/ミア(미아)役
ジョン・ユンミン(정윤민) /サンビョン(상병)役
ユン・ジェムン(윤제문) /ジョ氏(조씨)役
オ・ヘソク(오혜석)/ジンホ(진호)役
キム・ジェロク(김재록)/神父(시부)役
シン・ソユル(신소율) /ミンジョン(민정)役
【ストーリー】
海辺にひっそりと建つ、こじんまりとしたカフェ ルートを経営しているミア。
ミアはマジシャンのサンビョンを愛している。
サンビョンの相方は「ジンホ」という男で、
三人はマジックショーをしながら、 ミアのお店を手伝っている。
ある嵐の夜、手品の公演が終わり、家の前に着いたところで
ミアはサンビョンに激しくキスをして、自分から迫っていく。
実はサンビョンには ミアに、いや世間には決して言えない秘密があった。
そう、彼はバイセクシャルであり、エイズ感染者でもあったのだ。
ある日、ミアは偶然、サンビョンがジホと情事をしている
衝撃的なシーンを 目のあたりにして、愕然としてしまう。
(ここのシーンは、生々しすぎるからかもしれませんが、
サンビョンの体しかほとんどうつりません。
ですが、このシーンの前半の セリフから、
サンビョンがバイセクシャル、そしてエイズ感染者だということが想定できます)
その後、ミアは無我夢中でジンホのところへいき、
銃砲店で借りてきた(購入した)ライフルを突きつけ、
「誰を愛しているの!?」ときつく問い詰める。
そこに駆けつけたサンビョン。
ミアを止めるつもりで、詰め寄ったのだが、
誤ってジンホを撃ってしまい、ジンホは即死・・・
ジンホに抱きつき、泣き崩れるサンビョンだったが、
冷静になった後、銃を持って警察に行き、 自分がジンホを殺した・・・
とミアに対しての罪悪感からか、 それともジンホに対する罪の償いからか、
ミアの代わりに自首をする。
(銃砲店がなぜこんなところに??というのと、
なぜそんな気軽に 銃を買える(貸す)のか?という疑問がありましたが、
この銃砲店の店長が、後から出てくるジョ氏です)
場所は代わり、刑務所に。
ここで、やっとキム・ナムギル登場。
スインとサンビョンは同じ刑務所で服役をしている。
スインは、ある濡れ衣を着せられ、無実の罪で刑務所に入れられてしまったのだ。
その冤罪とは、自分の「妻」を殺したという罪。
真犯人である妻の愛人(神父)を捕まえて無実を証明したいがため、
スインは、‘エイズに感染したものは出所できる’という噂を信じ、
誰も近づこうとしなかったサンビョンに自ら近づく。
サンビョンが点滴を受けている部屋に入ったスイン。
点滴の針を抜き、自分の腕に刺し、血液を逆流!!
これで釈放されると思いきや、
実は釈放ではなく「入院治療」なのだと聞いて軽くショック。
しかも、血液感染は余命3年とも聞かされる。
エイズを発症して病院で治療することになったスイン。
サンビョンは「カフェ“ルート”に居るミアという女友達のことを
教えて欲しい」と頼み、 スインは治療途中で脱走に成功した。
この刑務所の中でのスインとサンビョンの掛け合いがちょっと面白い。
サンビョン「나는 애인을 즉였다고 하더군(俺は恋人を殺してここにいるんだと)」
スイン「나도 아내를 죽였다고 해(俺も妻を殺してここにいるらしい)」
実は、お互い無実の罪で捕まっているんだ~ということを、
微妙にあらわしているこのセリフ。
なんとなく、他人事のように聞こえるこの語尾。
ここらへんのセリフの言い回しはよく考えてるなと思わせるところです。
先輩に居所を掴んでもらっていたスインは、 早速神父を捕まえボコボコにした後、
「関係をバラすとお前の妻に脅されたけど、死んだのは事故だった」という自白を得るが、
警察に行く前に、神父がスインのいる前で崖から飛び降り、自殺をしてしまう。
最後の望みも失い、絶望に陥るスイン。
行くあてもなく、サンビョンから聞いたカフェルートにたどり着き、
波が押し寄せる海辺で、呆然と海をながめるスイン。
その姿を見たミアは、「ここは自殺禁止区域です。」と スピーカーで警告を流す。
ミアのいるカフェに入ったスイン。
ミアは料理が苦手なため、今はカフェのみで営業しているという話をする。
服役前は、腕のいい(?)シェフとして働いていたスインは、
ミアに料理の腕前を披露。
スインを気に入ったミアは、スインを雇い、
住む場所も自分が住んでいる 宿所(모텔/ モーテル)を提供する。
宿所の娘は、ミアの友人ミンジョンで
指名手配書でスインの写真を見ても黙っていてくれる。
イム・ユジンという偽名でミアに近づいていたスインだが、
ある日、自分はサンビョンから聞いてここにきたこと、
サンビョンと同じ刑務所にいたこと、そして自分もHIV感染者だということを 打ち明ける。
愕然とするミアだが、刑務所にいるサンビョンに面会に行き、
結局自分と同じような境遇にいるスインを受け入れる。
(ここら辺のミアの気持ちの描写が不明確。
同情からなのか、好きになったから許したのか?)
少し2人の距離が縮まったと思いきや、
刑事が脱走犯のスインがカフェルートにいると聞きつけやってくる。
あわててスインに知らせるミア。
スインは、ミアとミンジョンの協力を得て、すばやく逃げるのだが・・・
逃げ延びたスインだが、先輩に説得されるも、自首をせずに道路をフラフラ。
車の前に飛び出して、自殺しようとするが、
スインを避けた車が、逆に横転事故を起こしてしまう。
「死」にも見放されてしまったスイン。
一方のミアも、雨が降る夜にカフェを閉めて出ようとしたところ
何者かにレイプされてしまう。
響きわたるミアの悲鳴。
(ここのシーンは、ほとんど真っ暗でわずかな明かりで、
なんとなくは見えますが、う~ん。分かりにくかった。。。
後から、このレイプの犯人がライフルを売った
ジョ氏だということが分かる のですが、ジョ氏(조씨)役のユン・ジェムン(윤제문) さん、
有名な俳優さんなのに この役はちょっと残念でした。。。
おそらく、ミアの絶望感を強調させるために、
ジョ氏の役を作ったと思うのですが、逆に見ている人にとってはわかりにくかったかも)
生きる希望をすべて失ったミアは、
毎日、飲み続けていた治療用の薬を窓からばら撒いて捨ててしまいます。
このシーンはとっても美しい。
そして、既に11ヶ月後。
ミアに会いたくて、スインはカフェに戻ってくる。
再びシェフして働き始め、ミアに料理を教えたり、
ミアからマジックを教わったりして、 少しずつ2人の愛をはぐくんでいく。
平穏な日々が続いていたある日、突然カフェにやってきたジョ氏。
指名手配書をスインの前に突きつけ、
スインが脱走犯であることを警察に通報してやると脅す。
銃砲店に行って、「スインはもう余命わずかだから見逃して欲しい」と懇願するミア。
ジョ氏は「自分は銃殺事件の真犯人を知っている」と脅迫し、それに対してミアは
「私は私をレイプした男が誰か知っている」と言い返す。
(ん~、ジョ氏悪い男すぎる!!)
ミアは、ジョ氏に「一番憎い男だけれど、あなたがHIVに感染しなくて良かった」と言う。
(ん??なぜ?そんなに悪い男なのに~)
通報によって宿所にやって来た警察から、
ミアはマジック用の箱を使ってスインをかくまう。
ミアはカフェを閉めることを決め、スインと最後の晩餐をしていると、
スインが突然鼻から出血をする。
止血しようとしたミアに「血を止めても病気は治らない」と言うスイン。
宿所にはいった2人は最初で最後の熱い一夜を過ごす。
翌日、ミアは海辺でスインにマジックを見せる。
「1分、いや30秒だけ目をつぶって」と言うミア。
30秒後に目を開けるとそこにミアの姿は無く、
大量の紙吹雪が舞っていた。 (このシーンもまた美しい)
それを見たスインが「それなら俺にも出来る」と言うと海に向って歩いて行く・・・